毘沙門―津軽飯詰
「降るな降るなよ 津軽の雪よ 春が今年も 遅くなるよ
ストーブ列車よ 逢いたや親父」
吉幾三「津軽平野」
演歌の歌詞にも出てくるストーブ列車は毎年12月から3月まで運行され、津軽五所川原―津軽中里間を走っている。
ストーブ列車の歴史は津軽鉄道とともにある。昭和5年7月15日、五所川原―金木間が開業、同年11月13日五所川原―津軽中里全線開業(20.7km)した。そしてその冬12月よりストーブ列車を運転した。昭和19、20、21年は戦時中物資欠乏のため、運行を中止したが、昭和22年より再びストーブ列車を運行し現在に至っている。
現在のストーブ列車は四代目の客車、オハフ33 1である。
オハフ33 1は1929年から国鉄が製造した一般型客車オハ35系の二等緩急車で、国鉄時代には上野から青森までの急行列車などに活躍した車両である。
1983年に折妻の戦後型オハ35 2520が津軽鉄道に譲渡され、だるまストーブを装備し冬季のストーブ列車として活躍している。
動力を持たない客車は先頭の蒸気機関車から蒸気の供給を受ける蒸気暖房である。津軽鉄道では機関車に蒸気を供給する設備がないため、車内に石炭を燃料とするだるまストーブを搭載して暖める方式を採用している。
また煙は車内にある煙突を通って、車外に抜けるようになっている。
私が撮影で行った日はいつもストーブ列車を牽引しているDD352ディーゼル機関車が点検整備のため、『走れメロス号』である津軽21型気動車が牽引した。
津軽飯詰―毘沙門
車内は木製の窓枠やネットになっており、当時の趣を味わえる。
名物のダルマストーブで炙るスルメイカ。
車内販売のキャビンアテンドさんが焼いてくれる。
津軽五所川原に到着し、回送されるストーブ列車。
奥には枕木式信号機も見える。
極寒でも快適に過ごせるようにだるまストーブを入れた列車はこれからも走り続ける。